あ、研究室にいるエンジニアに会う前に・・・なんだけども。
突然だけど、ショッピングモールに行くと
必ずのように遭遇する自動ドア。
ご存知の通り自動ドアはセンサーによって動いているんだけど、
何を検知しているか知ってる?
実は、自動ドアのセンサーは大きく分けて3種類あるんだって!
人の体温を感知する熱センサー、超音波で人の存在を検知する超音波センサー、
そして、最も普及しているのが光の反射を利用する光センサー。
それぞれ検知の仕方は違うものの、
自動ドアは、こうして物体を検知して動作しているんだね!
実は、自動車にも多くのセンサーが搭載されていて、
自動車の加速や傾き、タイヤの圧力、車から離れた物体など、
色んなものを検知してるんだよ。
最新の自動車にはどんなセンサーが搭載されてるのかなあ?
研究室に行くのが楽しみだね!
やあ!所長から助けが来るって、聞いてたよ!
ああ、助かった、助かった・・・!
え?そうだね、まだ安心するのは早いよね。
ごめん、ごめん。
早速手伝ってほしいんだけど、ボクが開発しているのは「運転支援システム」。
文字通り、ドライバーの運転をサポートしてくれるシステムのことだよ。
今、まさに苦しんでるのが「ミリ波レーダー」の開発でね・・・。
そのテストエンジニアリングをやってほしいんだ!
あ、いきなり「ADAS」とか「ミリ波レーダー」とか言われてもわからないよね?
まず、ADASは、先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems)
の略称で、自動ブレーキや半自動運転等で、
自動車事故の削減やドライバーの負荷を軽減してくれるシステムなんだ。
ちなみに、日本では令和3年11月以降の新型車にADAS搭載が義務付けられているよ。
ADASには、物体検知の為のセンサーが重要で、3種の神器なるものが存在するんだ。
画像認識の為の「カメラ」、光の反射を利用し3次元に距離検知する「LiDAR」、
そして、逆光や雨などの環境でも距離検知できる「ミリ波レーダー」が、それに該当するよ。
LiDARは、その価格の高さからまだ搭載されている車は少ないんだけど、
ミリ波レーダーは、ADASを搭載する車には殆ど搭載されているよ。
もう一回説明するね
さすがだね!
でも、そのミリ波レーダーが今、うまく動かなくてね・・・。
これじゃ~自動ブレーキがきかなくて車が衝突しちゃうかもしれないよ!
どうしたらいいのかな!一緒に僕を助けてよ!
高い温度の状態で電子部品を動かすと、
誤動作を起こすことがよくあるんだ。
恒温槽と呼ばれる暑くも冷たくもなる試験機に
このミリ波レーダーの部品を入れてデータをとろう。
40度以上を1000時間以上継続した時に、
部品に問題がなければOKだ!
う~ん、特に高い温度に対する耐性に問題はないね~。
電源をオンにした瞬間は、大きな電気の圧力が部品にかかるんだ。
ダムで塞き止めていた川の水を一気に開放するような感じだね。
もしかしたら、そのせいでミリ波レーダーがおかしくなってるのかも。
車のスイッチのオン/オフを繰り返して、電気の圧力で部品が壊れないかを
オシロスコープを使いながら確認するよ。
電源のオン/オフを繰り返しても、部品を壊してるようなことはなさそうだね。
車に取り付けたミリ波レーダーが、想定距離まで検知しているかを、
レーザー墨出し器という距離計測装置を使いながらテストするよ。
この時、センサーの取り付け角度も重要になるから、
うまく調整しながらテストするんだ。
ありゃ?検知できる距離がまったく足りてない!
そうか、それが原因だったんだね!早速直してくるよ!
数日後...
おおっ、ちゃんと自動ブレーキしてるよ!
君のおかげで、ミリ波レーダーを無事に作動させることができたよ!
本当にありがとう!
この調子で他のエンジニアたちも助けてあげてね!
やったね!きみの活躍でミリ波レーダーの精度がアップしたよ! ADASの機能が、また一歩、進歩したね。
このシステムは、不具合があると大事故につながるもの。
センサーが仕様通りの距離を正確に検知できているか・・・。
そのテストは、人の命を守る大切な仕事と言えるね!